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学習療法は、国(文部科学省管轄)の共同研究プロジェクトから
生まれた「認知症の維持・改善を目的とした非薬物療法」です。
東北大学の川島隆太教授とKUMONと福岡県の介護施設の
三者による共同研究プロジェクトで実証された理論をもとに確立され、
その検証結果は2005年にアメリカの学術誌
『The Journals of Gerontology』に掲載されて大きな反響を呼びました。
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その後KUMONは、2004年7月にくもん学習療法センターを設立、
独自に開発した「くもん学習療法システム」を、
介護施設へ導入する事業に努めてきました。
現在、全国1,400に及ぶ介護施設に導入いただき、
施設のスタッフが学習療法スタッフになられて
「高齢者の笑顔を増やしたい」「より高いケアを目指したい」と
日々取り組んでいただいています。
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同時に元気なシニアのための脳の健康教室も開発され、
今では全国200を超える地方自治体や団体が主催するまでに広がりました。
教室開講に当たっては、各自治体・団体が
認知症の予防と地域コミュニティづくりを目指して、
教室サポーター(ボランティア)を募集し、
脳の健康教室が開講されています。
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私たち学習療法センターにとって、
この10年余の学習療法の歩みは、まさに「感動」の連続でした。
「ご自分でベッドから起きて笑顔で学習に来られます」
「お母様が自分を名前で呼んでくれたと娘さんが泣かれていました」
「暴力的だった方が周りに優しくなられました」など、
施設スタッフやご家族も驚くような変化が数えきれないくらい報告されました。「施設職員の方の意欲が高まり、成長に役立っている。」
「施設とご家族との連携を強め、喜びや信頼に役立っている。」
「ケア(プラン)や施設経営にも役立っている。」
といったお声もたくさんいただいています。
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脳の健康教室の受講者のシニアの方々の中にも
「気持ちも頭も若返ってイキイキ生活される方」や
「街に出掛けて地域活動に参加するようになった方」など
素晴らしい変化がたくさん報告されています。
受講者の学習をサポートする教室サポーターの方々の
ご活躍のおかげです。
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さらに最近では、全国各地で学習療法の導入施設や脳の健康教室の
主催者・教室サポーター同士が交流し、学び合い、
力を合わせて地域に貢献しようという素晴らしい活動も広がっています。
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私たちKUMONという会社の中では、よく「先義後利」という言葉が
飛び交います。もともと学習療法は、文科省からの研究費補助を受けて
開発された、非薬物療法のひとつです。
東北大学の川島教授から「国家予算、つまり税金でできた学習療法を
国に貢献するために広げませんか?」という要請に応えて、
学習療法センターが創設されました。
その後、いま人類初の経験をしていると言われる超高齢社会を迎えた
日本の中で、「高齢者の笑顔やご家族、施設スタッフの喜ぶ顔が見たい」
「認知症予防や地域コミュニティづくりに少しでも貢献したい」と
いう思いで、学習療法・脳の健康教室の普及を行ってきました。
学習療法と脳の健康教室の進化と広がりは、
これまで関わっていただいた方々のご理解とご協力
そして実践と工夫の賜であり、「共に築き上げたもの」です。
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高齢者介護そして認知症介護は、本当に重く、時につらいものです。
ご本人もご家族も、当事者だからこその大きな苦しみを抱えています。
私たちはそういう方々にこそ学習療法に触れていただきたいと切に願います。
そして、だからこそ認知症予防とコミュニティづくりのための「脳の健康教室」が
もっと地域に必要になると信じています。介護という仕事を一生の仕事に選び、高齢者やご家族に笑顔を与えたと
日々頑張っておられる介護施設の方々、そして地域コミュニティづくりに
貢献したいと積極的に参加されている地域の方々とともに、
私たちは、これから、学習療法・脳の健康教室をこの世の中に広め、
この超高齢社会の日本に貢献することを目指して、活動しています。